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借地権付きの家の相続・売却|地主との交渉と譲渡承諾料【長崎】
こんにちは。住まい∞Labo(株式会社Rich)の那須井です。長崎市は昔からの借地が多い土地柄で、「実家の土地は借地で、建物だけが親名義だった」というご相続のご相談を頻繁にお受けします。借地権付きの家は、通常の所有権の不動産とは違い、相続の名義変更にも、売却にも「地主」という第三者との調整が欠かせません。今回は、借地権付きの家を相続・売却するときに知っておきたい、地主への連絡から譲渡承諾料の相場、更新料や地代滞納の注意点までをまとめて解説します。
📖 目次
1. 借地権とは?所有権との違いをまず理解する
借地権とは、他人が所有する土地を借りて、その上に自分名義の建物を建てて使用できる権利のことです。相続でよくあるのは、「建物は親(被相続人)名義、土地は地主名義」というケースです。この場合、相続の対象になるのは建物の所有権と借地権であり、土地そのものは相続財産に含まれません。
所有権の不動産であれば、相続後は自分の判断だけで名義変更や売却を進められます。しかし借地権は「土地を借りている」という契約関係が土台にあるため、相続や売却の場面で地主の関与が必要になる場面が出てきます。まずはこの違いを押さえておくことが、トラブルを避ける第一歩です。
2. 借地権付きの家を相続したら、まず地主に連絡を
借地権付きの建物を相続したときは、地主への連絡が欠かせません。実は、相続による借地権の取得そのものには、地主の承諾も承諾料も原則不要です。相続は法律上当然に発生する権利の移転であり、売買や贈与のような「譲渡」にはあたらないためです。
とはいえ、実務上は次の理由から早めのご連絡をおすすめしています。
- 地代の支払い先・振込名義を新しい相続人に切り替える必要がある
- 建物の相続登記(名義変更)をする際、借地契約書の内容確認が必要になることが多い
- 将来、売却や建て替えを考えたときに、地主との関係が良好であるほど話がスムーズに進む
建物の相続登記自体は、所有権の不動産と同じ手続きです。相続登記の進め方は、以前の記事「相続した不動産の名義変更(相続登記)は自分でできる?司法書士に頼む?」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
3. 売却するには地主の「譲渡承諾」が必要
相続した借地権付きの家を第三者に売却する場合は、話が変わります。借地権を第三者へ譲渡するには、原則として地主の承諾(譲渡承諾)が必要です。無断で売却してしまうと、契約解除の対象になるおそれがあるため、必ず事前に地主へ相談し、承諾を得てから売却活動を進めます。
地主が承諾してくれない場合でも、借地借家法には救済制度があります。地主の承諾が得られないときは、裁判所に「借地非訟」の申立てをすることで、裁判所が地主に代わって譲渡を許可する手続きが用意されています。この場合、裁判所が定める承諾料(後述の譲渡承諾料に相当する金額)を地主に支払うのが一般的です。
4. 譲渡承諾料の相場はいくら?
譲渡承諾料は法律で金額が定められているわけではなく、地主との交渉で決まりますが、実務上の目安として広く使われているのが次の水準です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 譲渡承諾料 | 借地権価格の10%前後が目安 |
| 建て替え承諾料(必要な場合) | 更地価格の3〜5%程度が目安 |
| 支払うタイミング | 売買契約の決済までに、売主(相続人)が地主へ支払うのが一般的 |
借地権価格は、その土地の更地価格に「借地権割合」(地域ごとに国税庁が定める30〜90%の割合)を掛けて計算するのが一般的です。長崎市内でも地域によって借地権割合は異なるため、正確な承諾料の目安を知りたい場合は、路線価図と合わせて査定を受けることをおすすめします。
5. 更新料・地代の滞納があるときの注意点
相続で借地権付きの家を引き継ぐと、被相続人が生前に滞納していた地代や更新料も、そのまま相続人が引き継ぐことになります。相続登記や名義変更を進める前に、地代の支払い状況を必ず確認しておきましょう。
地代の滞納が長期間続くと、地主から契約解除を求められるリスクがあります。特に、被相続人が高齢で入院・施設入所していた期間は地代の支払いが滞りがちなため、通帳や領収書で直近の支払い履歴を早めに確認することが大切です。滞納が見つかった場合は、放置せず速やかに地主へ連絡し、支払い計画を相談するのが望ましい対応です。
また、借地契約の更新時期が近い場合は、更新料の支払いも必要になります。更新料の相場は借地権価格の5%前後が一般的とされていますが、こちらも契約書や地域の慣行によって異なるため、契約内容を確認しておきましょう。
6. 借地権を手放す3つの選択肢
相続した借地権付きの家を「手放したい」と考えたとき、主に3つの方法があります。
- 第三者へ売却する:地主の譲渡承諾を得たうえで、借地権と建物をセットで売却する方法。買主が限られやすく、所有権の不動産より売却期間が長くなる傾向があります。
- 地主に買い取ってもらう:地主にとっても土地の完全所有権を取り戻せるメリットがあるため、交渉次第では第三者への売却よりスムーズに進むことがあります。
- 底地と等価交換して完全所有権にする:土地の一部を地主に譲る代わりに、残りの土地を完全な所有権として取得する方法。将来的に売りやすい「所有権の不動産」に切り替えられるのが利点です。
どの方法が最適かは、借地権割合や地主との関係、土地の立地によって変わります。まずは現状の借地権価格と、地主の意向を確認するところから始めるとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 借地権は相続税の対象になりますか?
A. なります。借地権も相続財産の一つとして評価され、相続税の課税対象になります。評価額は、その土地の更地価格に借地権割合(地域ごとに国税庁が定める30〜90%)を掛けて算出します。
Q. 相続で借地権を引き継ぐときも、地主に承諾料を払う必要がありますか?
A. 原則として不要です。相続は法律上当然に発生する権利の移転であり、売買や贈与のような「譲渡」とは扱いが異なるためです。承諾料が必要になるのは、第三者へ売却するときです。
Q. 地主が譲渡承諾をしてくれない場合はどうすればいいですか?
A. 裁判所に「借地非訟」の申立てを行うことで、裁判所が地主に代わって譲渡を許可する制度があります。この場合、裁判所が定める承諾料相当額の支払いが条件になるのが一般的です。
Q. 借地権付き建物の相続登記は必要ですか?
A. 必要です。土地の名義は地主のままですが、建物は相続人の名義に変更する相続登記が必要です。2024年からは相続登記の申請が法律上の義務になっているため、早めの手続きをおすすめします。
Q. 更新料や地代を滞納したままだとどうなりますか?
A. 長期間の滞納が続くと、地主から契約解除を求められるリスクがあります。相続後はまず支払い状況を確認し、滞納があれば速やかに地主へ連絡して支払い計画を相談することが大切です。
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