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「既存不適格建築物」とは?再建築不可との違いと売却時の注意点【長崎】
こんにちは。住まい∞Labo(株式会社Rich)の那須井です。長崎市は坂や狭い道路に沿って建てられた古い家が多く、査定にお伺いすると「建てた当時は普通の家だったのに、今の基準だと建て替えできないと言われた」というご相談をよくいただきます。これは「既存不適格建築物」という状態にあたることがほとんどです。今回は、既存不適格建築物とは何か、よく混同される「再建築不可」との違い、そして売却するときに知っておきたい注意点をまとめて解説します。
📖 目次
1. 既存不適格建築物とは?建築基準法との関係
既存不適格建築物とは、建てた時点では建築基準法などの規定に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更によって、現在の基準には合わなくなった建物のことです。違法建築ではありません。建築当時のルールを守って建てられた、いわば「合法だった建物」です。
建築基準法は、耐震基準の強化や用途地域の見直し、建蔽率・容積率の改正などで、これまで何度も改正されてきました。そのたびに、既存の建物すべてを新基準に合わせて建て替えさせるのは現実的ではないため、法律は「既存の建物はそのまま使い続けてよいが、新基準を満たすまで建て替え・増改築には制限がかかる」という扱いを定めています。これが既存不適格建築物です。
2. 「再建築不可」との違い
既存不適格建築物とよく混同されるのが「再建築不可物件」です。両者は原因も結果も異なるため、整理しておきましょう。
| 項目 | 既存不適格建築物 | 再建築不可物件 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 法改正・都市計画変更で基準が変わった | 接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接する)を満たしていない |
| 建て替え | 条件付きで可能(新基準に合わせる必要あり) | 原則不可(セットバック等で解消できる場合を除く) |
| 住宅ローン | 組める金融機関が多いが条件確認が必要 | 組める金融機関が限られる |
つまり、既存不適格は「今の基準には合わないが、条件を満たせば建て替えられる」状態、再建築不可は「そもそも建て替え自体が原則できない」状態です。接道義務を満たさない再建築不可物件についてご相続された方は、以前の記事「接道義務を満たさない『再建築不可』の家を相続したら?」もあわせてご確認ください。なお、1つの建物が既存不適格であり、かつ接道義務も満たさず再建築不可でもある、という両方に該当するケースも珍しくありません。
3. なぜ既存不適格になるのか?長崎に多い理由
既存不適格が発生する主な原因には、次のようなものがあります。
- 用途地域の変更:住宅を建てた後に用途地域が変わり、建蔽率(敷地に対する建築面積の割合)や容積率(敷地に対する延床面積の割合)の上限が引き下げられた
- 耐震基準の強化:1981年(昭和56年)の耐震基準改正(新耐震基準)以前に建てられた建物は、現行の耐震基準を満たしていないことが多い
- 道路の位置指定・幅員の変更:建築当時は道路として認められていたが、その後の指定変更で扱いが変わった
長崎市は斜面地に住宅が密集して建てられてきた歴史があり、建築当時は幅の狭い私道や階段状の通路に接して建てられた家が多くあります。こうした地域では、用途地域や道路の扱いが後年見直された結果、既存不適格に該当する住宅の割合が全国平均より高い傾向にあります。相続や売却の相談で物件を確認すると、築40〜50年以上の家では既存不適格に該当しているケースが少なくありません。
4. 既存不適格建築物を売るときの注意点
既存不適格建築物は違法建築ではないため、そのままの状態で売却すること自体は可能です。ただし、売却の際には次の点に注意が必要です。
- 告知義務:既存不適格である事実(建て替えに制限がある、耐震基準を満たしていない等)は、買主の意思決定に大きく影響するため、必ず重要事項説明・告知書で買主に伝える必要があります。伝えないまま契約すると、後日トラブルに発展するおそれがあります
- 住宅ローン審査への影響:既存不適格でも住宅ローンを組める金融機関は多いですが、耐震基準を満たしていない場合はフラット35などの一部商品で利用条件が厳しくなることがあります
- 建て替え・増改築の制限:建て替える場合は現行の建築基準法に適合させる必要があり、現状より小さい建物しか建てられない(容積率オーバー分は減築が必要)ケースがあります。買主にはこの点も含めて説明することが大切です
「知らずに黙っていた」状態は、契約不適合責任を問われるリスクにもつながります。以前の記事「不動産売却後の『契約不適合責任』とは?」もあわせてご確認いただくと、告知の重要性がより分かりやすくなります。
5. 売却の選択肢は3つ
既存不適格建築物の売却方法は、主に次の3つに整理できます。
- 現状のまま売却する:建物の状態と既存不適格の内容を正しく告知したうえで、そのまま販売する方法。建て替え制限を理解した買主(住み続けたい方やリフォーム前提の方)に向いています
- リフォームしてから売却する:既存不適格の制限は「建て替え」に対するものなので、増築を伴わないリフォーム・リノベーションであれば行いやすい場合が多く、住みやすさを高めてから売却する方法も選べます
- 解体して更地で売却する:建て替え制限のある建物を解体し、土地として売却する方法。ただし再建築不可も兼ねている場合は、更地にしても新築できないため、事前の確認が欠かせません
どの方法が適しているかは、既存不適格の内容(耐震基準なのか、建蔽率・容積率なのか)や立地、買主層によって変わります。まずは物件の状況を正確に把握することが、適切な売却方針を選ぶ第一歩です。
6. 既存不適格かどうかを調べる方法
ご自身の家が既存不適格に該当するかどうかは、次の方法で確認できます。
- 建築計画概要書を確認する:長崎市の建築指導課などで閲覧・取得できる書類で、建築当時の許可内容が分かります
- 現行の用途地域・建蔽率・容積率を確認する:長崎市の都市計画情報や窓口で、その土地の現在の規制内容を確認し、建物の現況と比較します
- 耐震診断を受ける:1981年以前に建てられた建物であれば、耐震診断で現行基準との差を具体的に把握できます
ご自身での確認が難しい場合は、当社でも建築指導課への確認を含めて状況整理のお手伝いをしています。売却をご検討の際は、早い段階でご相談いただくと選択肢を広く残せます。
よくある質問(FAQ)
Q. 既存不適格建築物は違法建築ですか?
A. 違法ではありません。建築当時のルールに適合して建てられた建物で、その後の法改正や都市計画の変更によって現行基準に合わなくなった状態を指します。無許可の増築などで最初から基準を満たしていない「違反建築物」とは区別されます。
Q. 既存不適格建築物でも住宅ローンは組めますか?
A. 多くの金融機関で融資は可能です。ただし、耐震基準を満たしていない場合はフラット35など一部の商品で利用条件が厳しくなることがあるため、事前に金融機関へ確認することをおすすめします。
Q. 既存不適格の家は建て替えられないのですか?
A. 建て替え自体は可能ですが、現行の建築基準法に適合させる必要があります。容積率や建蔽率をオーバーしている場合は、現状より小さい建物になることが一般的です。
Q. 既存不適格であることを黙って売っても問題ないですか?
A. 問題があります。買主の意思決定に影響する重要な事実であるため、重要事項説明・告知書で必ず伝える必要があります。伝えずに契約すると、契約不適合責任を問われるリスクがあります。
Q. 既存不適格かどうかはどこで調べられますか?
A. 長崎市の建築指導課で建築計画概要書を確認するほか、現行の用途地域・建蔽率・容積率と建物の現況を比較する方法があります。ご自身での確認が難しい場合は、不動産会社にご相談ください。
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